日本刀剣鑑定書

【脇差】
無銘【三代・冬廣】

神奈川県 第264号

刃長 反り
47.0cm 0.8cm
元幅 先幅 元重
2.92cm 2.45cm 0.54cm

刃文 状態 鍛え 姿 総評
10 10 8 9 9 9
時代 室町時代後期
若狭
系統 若狭守冬廣系
帽子 乱れ込んでやや掃き掛けて返る
造り 本造り
鍛え肌 板目肌錬れてやや黒味帯びる
刃文 広直刃調に沸つき足よく入る
概要
古刀期の若狭国を代表する流派に、二代中島来の子に相当する宗長を祖とする小浜系鍛治及び相州廣次(三男)の子、冬廣が当国に移住し双方共に繁栄した。当該脇差は後者の冬廣系の三代作と考えられる一口で、刃文の構成は他国作例で捉えると、肥後同田貫等の作に近似しているが、地鉄色に黒味帯びる事から北陸地鉄を用いた鍛刀例と識別される。
所見
本作は大磨上無銘の脇差で、製作年代は体配及び地鉄鍛錬法の観点から、室町時代後期(永正頃)の作と考えられる。鍛えは板目肌よく錬れて地景入り地沸つき、地鉄色黒味帯びる。刃文は広直刃調に沸つき総じて冴え、砂流し足よく入る等、若干乍ら相州伝を継承した流派と鑑みられ、室町時代後期の若州冬廣の作と捉えられる。