日本刀剣鑑定書

【刀】
無銘【末保昌】

福岡県 第107542号

刃長 反り
70.5cm 1.8cm
元幅 先幅 元重
2.94cm 2.05cm 0.60cm

刃文 状態 鍛え 姿 総評
10 9 10 10 9 9
時代 室町時代初期
大和
系統 保昌系
帽子 掃き掛け気味に小丸に返る
造り 本造り
鍛え肌 柾目肌よく錬れて地景入る
刃文 細直刃頻りにほつれ交じる
概要
古刀期の大和国鍛冶群は五大流派によって繁栄し、その一角に保昌派が挙げられる。同派の事実上の祖は保昌五郎貞宗とされ、以降保昌派の多くは刀工銘に「貞」の字を冠する例が多い。尚、保昌派の最大の特徴はその鍛刀技法で、柾目鍛えを主軸とし、室町時代に入った後代の作例には、地肌がやや白け気味になる傾向が見受けられる。
所見
本作は若干の区送りが施されているものの、概ね生ぶの状態を堅持した一口で、製作年代は体配及び地鉄鍛錬法の観点から、室町時代初期(応永頃)と捉えられ、刃文は細直刃を焼いて肌目に添って刃縁頻りにほつれ冴える。鍛えは純然たる柾目肌鍛えを顕し、地景柾状によく入る等、時代やや下るものの、大和保昌派の作風がよく示された一振である。