日本刀剣鑑定書

【刀】
無銘【志津兼俊】

徳島県 第18767号

刃長 反り
70.5cm 1.5cm
元幅 先幅 元重
3.38cm 2.53cm 0.76cm

刃文 状態 鍛え 姿 総評
10 10 9 10 10 10
時代 南北朝時代初期
美濃
系統 志津三郎兼氏系
帽子 浅く湾れて先掃き掛けて返る
造り 本造り
鍛え肌 板目肌錬れて柾掛かり地沸つく
刃文 沸本位小互の目乱れに金筋・砂流し交じる
概要
志津三郎兼氏は、大和手搔包永系の鍛治で、のちに相模国の著名刀工・正宗門となり、その十哲の一人に挙げられる。美濃国多芸郡志津村に住して以降は初銘の包氏を兼氏に改銘した。尚、兼氏の弟と伝えられている兼俊には、現存する作品例は極めて少ない事が挙げられるが、地刃の出来は兼氏(初・二代)に匹敵する相州伝法に大和伝・美濃伝が混在した作柄を示すとされている。
所見
本作は大磨上無銘の刀で、元来は二尺六寸を超える大作であった事が窺える。製作年代は体配及び地鉄鍛錬法の観点から、南北朝時代初期(建武頃)の作と捉えられ、鍛えは板目肌よく錬れて詰み、柾掛かり、大和伝を踏襲しており、地景入る。刃文は沸本位の小互の目乱れを焼いて、部分的に相州最上位工・正宗の作風にみる「島刃」交じり、刃中に金筋・砂流しの働きに富む事から、広義的にみて直江志津と云うより志津の作風が最も近似しており、初代兼氏の弟と伝えられる志津兼俊による一振と考案される。